稲の一生は、5月に種まきをして、10月にお米を収穫するまでの6ヶ月間でしたね。
フィールド農法という画期的な農法では、無農薬・無肥料で強い体質の稲を育て、たくさんのお米を収穫することが目的でした。
この農法の成功のカギは、6ヶ月のうちの最初の1ヶ月で決まるとお話しましたね。
これを子どもの成長に置き換えると、小学校3年生までの時期に相当します。
- 低学年のときはよくできたのに、なぜ伸び悩むのか? -
小学校低学年時に、あれもこれもといろいろな習い事をしておられるお子さんがおります。
このようなお子さんの中には、勉強面でも、2つから3つぐらいの通信教育をしているケースもあります。
このようなお宅では、学校の宿題以外に、たくさんの自宅学習のメニューが用意されています。
こういう勉強をしているお宅では、次のように考えているのかもしれません。
「低学年のうちは、子どもの自主性をあてにするより、親がグイグイリードして子どもに勉強させた方が、手っ取り早く学習成果を出すことができる」という考え方です。
実際に、このような形で親がリードして勉強させると、困ったことに、子どもは勉強がよくできるようになります。
ここで「困ったことに・・・・」と言ったのには、それなりの理由があります。
親による“やらせ勉強”で、勉強がよくできるようになっても、それは小学校の低学年のうちだけだからです。
こういうケースでは、高学年からは、ほとんど伸び悩んでしまいます。
「勉強がよくできる」といっても、小学校低学年のときだけというのでは、これは「困ったことに・・・・」と言わざるを得ません。
ここでもう一度、フィールド農法に立ち戻って考えてみましょう。
フィールド農法では、最初の1ヶ月に相当する苗の時期に「自分の力で栄養をとること」を教えた苗は、自発吸収能力を発揮して、グングン自育していきます。
これは子どもの場合も同様です。
小学校低学年の時期に、“やらせ勉強”をさせるのではなく、“自発吸収能力”を育てた方が、子どもの学力は学年を追うごとにグングン伸びていくのです。
低学年の時期に、人からさせられる勉強で育ったお子さんは、“自発吸収能力”が育ちません。
本来であれば、“自発吸収能力”が育つ大切な時期に、「勉強は人から指示されて、させられるもの」という価値観を植えつけられてしまうからです。
このように育てられたお子さんは、人からの指示をあてにする“指示待ち人間”になってしまうことが多々あります。特に、中学受験を目指すケースでは、手っ取り早く学習成果を出そうとするため、こういう失敗をよくしますから、要注意です。中学受験のように難しい問題を解く勉強をするためには、“指示待ち人間”では通用しません。
中学受験で成功するためには、“自発吸収能力”は、なおさら強く求められてくるということを私たちは知っておくべきです。
“自発吸収能力”は、低学年の時期にしか育てられない能力です。
この能力を育てるには、“しつけ”がとても大切になってきます。
では、具体的に考えてみましょう。
子どもの勉強は、親がさせるのではなく、子ども自身がしなければ学習成果はあがりません。
この当たり前のことを子どもに教えるには、低学年の時期が最適です。
「自分のことは自分でする」という“しつけ”としての価値観を子どもに伝えるには、小学校低学年までの時期が一番よいのです。
そのように考えると、小学校の低学年の時期にこそ、自分が取り組む“でき太くんの学習材”は、親が用意するのではなく、子ども自身が自分で取り出して取り組むように“しつける”必要があります。
「自分のことは自分でする」という価値観は、こういう“しつけ”を通して初めて、子どもに身につけさせることができます。
このような具体的なことが、ひとつひとつ自分の力でできるようになっていくことで、子どもの中に“自発吸収能力”は育っていくのです。